センチメンタル禁止

 最近どうも過去の思い出に浸ってしまう、というか頭が支配されてしまうことが多い。スイッチが入るきっかけは様々なんだけど、なぜか手をつないだ記憶ばかりがよみがえってくるのだ。
 例えば、バカみたいに騒ぎながら駅までの道をみんなで手つないで歩いたり、お祭りの夜、ふだんと違う浴衣姿にちょっとドキッ…とはしなかったけど言われるままに手つないでみたり、ベンチに座って帰りの電車を待ってたら手をぎゅっと握られて、「これって酔ってるからだよなー」などと考えつつもドキドキしたり、あとは思いきって自分から手を握ったあの日のこととか…。
 色恋どうのは抜きにしても、思っていることって言葉にしたとたん「うーん、言いたいことはこんなんじゃないねんっ」となることが多くて、僕は口をつぐんでしまうことが多い。そんなんじゃダメだ、ぶきっちょでもカッコ悪くても話そう伝えようとする姿勢でいなきゃ…と思いながらも、手をつなぐ心地よさに僕は甘えていたかっただけかもしれない。って、結局色恋の話になってるし。
 そういえば、最後に人と手をつないだのって、春一番で一緒にステージ前にいた障害者の男の子と一緒に踊ったときだなあ。いきなり力強く手を握られたもんだからビックリして振り返ると、そこにはただただ真っすぐな瞳があって、最初は「目そらしたりしちゃダメだ」なんて少し緊張してたんだけど、音楽に身をまかせているうちにすごく自然な気持ちになれたんでした。いや、手をつなぐなら男の子の方が…というオチではないですよ(台無し)。