伊東篤宏個展・Na・Ri・Ka・Na・De・Mi・Ru・Ya・Mi・Yo・Mi・ / sun and escape 現象と干渉〜音にならないオトを聴く@大阪築港赤レンガ倉庫

masao19802005-07-31

 西院ミュージックフェスティバルも、KOBE TOY ROXも、もちろんフジロックもすっ飛ばして、初めての赤レンガ倉庫へ行ってきました。最寄りの大阪港駅へアクセスするOTS線が最近値下げされたから、ちょっと気軽に行けるようになったのもイイネ。ついでに天保山でやってるガンダム展に行くのもアリだったけど、京都行くのためらうくらい財布が寂しいのでしゃーないです。
 と、不景気な話はまあ置いといて。大多数の人が海遊館天保山のある北へ向かうのを尻目に、駅から南にトコトコ歩いていくとさっそく迫力の赤レンガ倉庫がズラーっと。入り口がどこか分からず迷いながらも中に入ると、チラシとうちわ(暑くて気分が悪くなる人がいるので…とのこと)を渡され、2階の伊東さんの個展へ。
 階段のあるフロアも含め3フロアを使った構成…だったんだけど、1フロア目の作品に気付かずに(…)奥へ。ここは足元を照らす最低限の灯りだけでほぼ真っ暗な状態。あまりの暗さに、通路の奥や天井にどれだけ闇が広がっているのか全然分からなくて怖い…んだけど、鳴り響く金属的なノイズ(動物の金切り声に聴こえなくもない)の響き方で、何となーくフロアの空間が掴めるような気がして面白い。子どもの頃、暗闇に何かが潜んでいそうなのが怖くて、寝るときはいつも兄弟がいる方に背中を向けていたのを思い出しました。
 分厚いカーテンの向こうにあった3つ目のフロアは、蛍光灯の放電を利用した楽器?「オプトロン」がフロアを囲うように二方からセットされていて、交互に、ときには同時に強烈な光を放ちます。四方に設置されたスピーカーからええ感じに響く大音量の音を浴びていると何となくいい塩梅になってきて、ふと気がつくとスタッフの人がさりげなく入り口に立ったりして。あんまり長いこといるから心配されたんだろか。まあ、暑さで汗はかなーりかきましたけど。
 で、そろそろ帰ろうかとさっきの真っ暗なフロアに戻ると、さっきの蛍光灯の光で目が慣れたのか、フロアの奥行きや天井の梁まで見えるようになってて驚き。なんか作者の思うツボにはまったような気もしますが。で、1フロア目の作品は壁にかかった換気扇?にゴムホースを取り付けたもので、大音量を浴びたあとだから弱音の機微がイマイチ分からず残念。もっとじっくり長居すりゃよかったかな。


 お次は別の倉庫で行われている「sun and escape」へ。梅田哲也、堀尾寛太、毛利悠子、指吸長春の4人によるかなり実験的なサウンドアートが展示されていて、ここではスタッフの人が説明してくれたんだけど、うーん分からんモンは分からん。理系のメカ好きな人ならたまらんだろうなーという気はします。
 そんななか、一番分かりやすくて面白かったのは梅田さんの「drying」。フロアに設置された巨大な風船たちにそれぞれワイヤレスマイクがセットされていて、その振動を天井の親玉風船がキャッチ、全方向に拡散させるとまた子風船が振動して…という風に振動が増幅していく仕組み。マイクが拾う振動は人間の耳には聞こえないレベルの音なんだけど、風船に耳を近づけるとツーンと鼓膜が震えるのが分かって純粋に楽しい、でも風船の下にぶらさがってた布(吸音素材らしい)は役に立ってたんだろうか…。ちなみに、この人はPOOL2の宙吊り回転スピーカーを作った人らしいです。


 いろいろ見て回ったせいか、ちょっと疲れを感じつつも最後に立ち寄ったのはアーツアポリアライブラリー。ペヨトル工房の本がほとんど揃ってるという触れ込みで気になってたんだけど、想像してたのより狭い…と思ったのは最初だけ、棚をじっくり見ていくとかなり濃いです。誰かが寄贈したのか岡崎京子がずらり、で、山本直樹は「ビリーバーズ」と「BLUE」というラインナップが何となく「らしい」。うちにある森山塔を寄贈してバランスを壊したいなーなどとよく分からんことを考えつつ、宮西計三根本敬を読みふけっていると2時間ほど経ってたので辞去することに。
 こんな感じで、初めての赤レンガ倉庫はなかなか充実した時間を過ごせて楽しかったです。8/21に灰野敬二さんが「sun and escape」展示会場でライブをするそうなんで、開演よりちょっと早めに行って、また図書館にこもりたいところ。今日は一銭たりとも金落としてないんで、なんかまた行かなきゃ悪いような気がするってのもあります。