ちょっと長いけど、マイノリティであることについて

 さて、この頃「コリアタウン」やら「新世界」やら「性的趣向」やらはたまた「アート」まで、いろんなキーワードを出しつつも、わざと中途半端に話をぶった切っていたことに皆さんお気づきだったでしょうか。…いや、まあ実際のところ突っ込んで書くのが面倒だったので深く言及しなかったこともあるんだけど、この辺の話をやや乱暴に「マイノリティであること」という観点でまとめてみたいと思います。


 例えば、僕は生まれも育ちも大阪で、韓国の人がけっこう多い辺りに住んでます。で、うちの通ってた学校の場合、中学になると通名から本名に変える子が何人かいて、まあ要するに金田くんが金くんになったりするわけですが、あーそうなんやー程度の話で、何か人間関係が変わるということはまったくありませんでした。また、この辺はガラの悪い地区であるとも言われますが、それと住人の国籍うんぬんとの関連はまあ素人が考えて分かる問題ではないですよね。
 では次の例。僕の通っていた高校はいわゆる新世界の近くにありましたが、登下校中に不愉快な出来事に遭遇したことは一度もなく、むしろ、酔っ払ったおっさんがアコースティックギターを差し出しながら「アメリカ?」と聴いてくるなど、楽しかったことの方が多かったです。あ、でもあの辺の匂いはなあ…。
 じゃあ最後の例。僕は6年ほど前にはじめて上京した折、それとは知らずにハッテン場である某公園で休んでいたらサラリーマン風の男性に声をかけられたんだけど、「(夜行バスで来たという話をしてたので)疲れたでしょ。ウチで休んでかない?」とまで言われてもまだ(ナンパだと)気付かずに「いい人だなー」とかのんきに思ってました。その男性があまりにふつーな感じだったからか、「待ち合わせがあるんでー」と断ったあと友人との会話で事実を知ってからもネガティヴな印象はあまりなく、今ではむしろ知らなかったとはいえ人のテリトリーを荒らすような真似をして悪いことしたなーとさえ思っています。


 アートに関してはどうだろ…。ちょっとこれは別の場で書くとして、まあこういう経験をしてきて、僕自身はどういう考え方をするようになったかというと、「結局やー、違いはいろいろあっても同じ人間なんやから…」てな感じで、これって何の変哲もないといえばないよなあ…。
 韓国の人が多いからといって何か不都合があったかといえばないし(国とそこに属する人との関連性については考えてもしゃあないです)、しいて言えば美味しい料理屋が多くて困るくらい。新世界は匂うっちゃあ匂うけど、体から出るモンは人類皆同じ、安くて旨いもん食うて酒飲んで騒いで…ってほらあんま変わらんやん。同性愛者の友だち(戸籍上は女)もおるけど、常に相手の性的嗜好考えながら人と付き合ってるわけちゃうしなー。


 まあ要するに、完全に理解しあうことなんか出来るわけなきゃーないという前提のもと、分からんなら分からんで、ありのまま認めればエエだけの話。それでも理解しよう…なんてムチャをすると、どっかにムリが出て自分か相手を否定せにゃいかん始末になる恐れが大きいわな。理解しようと努力し続けられるのは、よっぽどの聖人か超天然でしょう…。
 蛇足になるかもしれないけど例を挙げるなら、犯罪が起こったときに注目される「動機」。不可解な事件であればあるほど問題とされる部分ではありますが、必死になって犯人の過去の体験やら性癖なんかを暴きだしたところで、「ホラこの人はこんなにも私(たち)と違う」と言って安心したいだけなんちゃうかなー。しょーもない占いや血液型性格判断と同じく…って、こーいう話すると最後はいつも血液型の話になるのな(大嫌いなので)。
 そういえば、自分のマイノリティ性については何も書いてないけど、今回はまあこの辺で。