東大阪を歩く(間抜けと因果から逃れる術はない)

 なんとなーく、石切に行こうと思った。石切というのは、大阪府奈良県の境目らへんにあって、主に占い屋、婦人向けブティック、粉モン(お好み焼き、たこ焼き、うどんなど)や乾物の店で構成されているスポットだ。当然じーさんばーさんしかいないんだけど、何となく好きで時折出かけてはブラついているのだ。
 今里駅から電車で11駅、石切は山の中腹にあるので景色もなかなかいい感じだ。かなり激しい下り坂になっている商店街を冷やかして、心の中でアレコレ突っ込みを入れまくっているとなかなか楽しい。ケーキ屋でクッキーシュー、たこ焼き屋でたこ焼きとビールなどをいただく。いい天気なのでジャケット要らず、Tシャツ1枚でじゅーぶんだ。
 いつもとはちょっと違うところに足を伸ばしてみようと、前から気になっていた石切夢観音を攻めることに。駅からちょっと山を上がったところにあるその建物が目に入った瞬間、なんつーか脱力。全くどこのバカだ、こんなの建てたのは…。残念ながら休館日にあたって中には入れなかったんだけど、外観だけでお腹いっぱいだよ。と、調べてみたら中もすごいことになってるらしい(参照:http://www.hct.zaq.ne.jp/amon/yumekan.html)。こりゃー今度行かねば。


 で。ここから今日の真の目的である、「石切から歩きで帰ろう」がスタート。以前2回に分けて歩いて帰ったことはあったんだけど、今日は一気に11駅分歩くつもりでやって来たのです。えー、意味は特にないんで気にしないでください。
 線路沿いに歩いていくと、「石切」→「額田」は右手に大阪の街並みを見下ろす感じでなかなか、わりとあっさり「枚岡」まで到着。駅近くの枚岡神社のあたりをフラフラしていると、枚岡展望台と書かれた案内板が目に付いたので、「ちょっと行ってみるかな…」と気軽な気持ちで向かったのが甘かった…。いつ着くのか分からない不安を抱えながら歩いたせいか、登っても登っても先が見えてこない。汗ダラダラ、足はガクガクで、しかしやっとのことで着いた展望台の眺めはすばらしいものでした。思えば、大阪からいつも東の方に見えてる山々に今自分がいるんだよなあ。そう思うと、なかなか感慨深いものがありました。
 で、帰りはせっかくだから違う道を通ろう…と思ったのが因果の始まりでした。いや、それまでにも何人かの人とすれ違って会釈くらいはしてたんだけど、ある一人のじいさんにカンペキに捕まってしまったのです。「兄ちゃんドコ行くん?」から始まり、「まあ何かの縁やから…」とベンチに座らされ、最初は世間話をしてたんだけど、唐突に、「にーちゃんは、ど、童貞か?」とエロ話に突入。いや、こんな大自然のど真ん中で、まだ日も高いってのに…と、軽くいなしてもじいさんは止まりません。何だか自分が根本敬ワールドの住人になったような気がしてクラクラしたんだけど、腹を括ってつきあうことにしました。以下、ちょっとずつ聞き出したじいさんのちょっとええ話。

  • 就職して間もない頃、残業が終わって家に帰る夜道で未亡人に誘惑され、相手のアパートに上がりこんでイタしたのち、金までもらったとか(今で1000円言うたらたいしたことないけど、当時はけっこうえらい金額や)。その関係は1年ほど続いたが、じいさんの方から別れ話を持ち出したところ、相手は「どうせ最後なら」とじいさんの腰が抜けるまで…(女っちゅうんは、アレの良さを知ってから旦那に死なれてしもたら…狂ってまうんやな)
  • 2、3年ほど前、山道の脇でイタしていた若いカップルを見かける(女の方は…アレ女子高生くらいちゃうかな。たぶん初めてやったんやろな、男−ちょうど兄ちゃんくらいの年のヤツや−がえらい焦っとったわ。やっぱな、この女を初めて犯したんはオレや…っていうのはええんやろな)。なお、この話は漏れ聞こえたセリフまで再現していただいた。
  • 昔は春画言うてなー、女の人が嫁に行ってちゃんとアレ出来るように、嫁入り道具と一緒に渡される絵があったんや。○○○とか○○○がもうすんごいリアルに書かれとってな、中学ん時くらいやったかな、もう初めて見たときは興奮したがな。(AVってモザイクかかってるんですよ、と説明すると)おー、そうなんか。それって音は出るん?(このセリフを聞いたときは耳を疑ったが、ビデオなどに頼らずイマジネーションで勝負し続けてきた証拠だと思うと感動的ですらある)
  • 昔は女郎屋言うてなー、大阪やったら、飛田、松島、九条…今やったら、ソープって言うんか。ハイカラな言い方やなー(最近の性的なカタカナ用語が出るたび、その言い方はハイカラだという指摘があった。この分野においても、横文字の乱用を見直す時期に来ているのかも知れない)。

 えーっと、ホントはもっと直接的な表現やココに書けないような話もあったんだけど割愛、まあこんな感じで話しながら、結局「枚岡」の2つ先、「東花園」まで一緒に歩いたんでした。じいさん有難う。そういえば、このじいさん東花園に住んでるらしいんだけど、ちょうど僕たちが山ん中でエロ話に大輪の花を咲かしてるころ、その東花園の公園で少年が4歳児の頭をハンマーで殴り倒してたんだよな。これも何かの因果なんだろうかね。
 で、また1人に戻ってからどんどん歩いていったんだけど、正直この辺から先はあまり見るものもなくて、イイ味出した商店街やら、古本屋やら、ゲーセンやらをフラフラしながら西に向かって歩いてると、わりとあっさり今里まで着いてしまったんでした。なんで昔あんなに苦戦したんだろう。今度は大阪環状線徒歩一周でもやってみるかな。


*ただでさえ少ない読者をまた減らせたかな、と心配しております。コメントいただければ幸いです。