現実ってなんだっけ

 最近、スカート履いたじいさんが乳母車を押しながら歩き回ってるのを日本橋〜なんばあたりでよく見かけます。彼の心境たるや、僕なんかの若輩者には到底理解できないんだけど、ある意味では「自分が何をしたいか」を明確に認識してそれを体現する姿には感動すら覚えます。ほら、そこの道行く人も「何あれー」とか言ってるけど、それって願望憎悪ってやつではないですか? …え、違いますか、そうですか。
 志村貴子さんの「放浪息子」という漫画の1シーンに、女の子になりたい願望のある主人公の男の子(小学生)が、ヘアバンドをした自分の姿を鏡で見てにんまりする…というシーンがあるのですが僕も似たような経験があります。いや、僕の場合は18とかそれくらいの年だったし、その指向がそれ以上先に進むことはありませんでしたが、「おっ」と思ったのは事実でして。
 かといって、「だから、そういう人の気持ちもちょっとは分かりますよー」という優等生的な発言がしたいわけではなく、「ちょっと自分の認識と外れてるからって、実際にあるもんはあるんだから否定しちゃいかんよなー」という…結局優等生的な発言になってしまいました。


 「あるもの」というのは密度が濃い。たとえ形を成していなくても、感じようとする心があればそこにあるのが分かるのだ。逆に、実体があるものでも密度が薄ければぼんやりとしか見えない。