大阪弁で書いてみるテスト

 この日は日本橋でもフラつくかと思って自転車で行ったんよ。家からまあ20分くらいかかるかなぁ、でも日本橋ってけっこう広いから、やっぱ自転車やったら便利なんよね。
 でまあ、いろいろ店をまわって、帰りに新世界のゲーセンに寄ったりして、ボチボチ帰るかって、アレちょうど通天閣の下あたりやったかな。自転車のペダルが急に重たなって、漕がれへんようになってしもたんよ。おかしいなあー、ってんで自転車降りてパチンコ屋の前に停めて、いろいろいじくり回しとったんです。
 そしたらパチンコ屋から出てきた1人のおっさんが声かけてきて、「おー、兄ちゃんどないしたんや」みたいな感じで。めんどくさいなあってゆう気持ちと、ああこのノリが大阪やなあってゆうちょこっと嬉しい気持ちが混ざってたんやけど、まあこれこれこうゆうことなんですわと説明したら、おっさんが有無を言わせずアレコレいじくりだして。
 でね、乗ってた自転車ってのがまあ家のやから、住所とかいろいろ書いてたんよね。それをおっさん見て、「おー、家すごい近いやん。オレ○○住んでんねん。ココやったらあれか、××小学校か?」「いや、□□□です」「おー、近くに工場あってクサいとこな」「(いや、まあ間違いではないけど…)そうですね」とか地元トークがはじまってしもて。極めつけは、「この辺住んでるんやったら、自分韓国人か?」「いや、日本人っすよ」「あー、そうか。珍しいな」っておっさんそれさすがに言い過ぎやろ。
 なんかそろそろウザいなあって気分になってきたんやけど、おっさんと協力してムリヤリ後輪を回すと…おお、回った。「なんや、お礼にコーヒーでも奢ってくれるんか?」とか「あとで自転車屋行って見てもらいや」と何度も何度も繰り返すおっさんに礼を言って、さて帰ろかってペダルを漕いでたら…また重くなって…ああ停まった。と、おっさんが駆け寄ってきて「あー、あかんか」ってまた来たよオイ。
 時間もけっこう遅かったから、自転車はその辺に停めといて今日は電車で帰って、次の日に自転車屋に持っていこうということになって、おっさんが「この辺置いとったら全部撤去されるで」ってんで自転車置き場教えてもらって。移動中も、「この辺は連れが多いからよく来る」とか「パチンコでボロ負けしたわ」とか「この辺ブラついとったらまた絶対会うで」…って会いたかねえよ。しまいには「(おっさんの自転車の)うしろ乗ってくか?」とか言いよるから、「いや、ちょっと天王寺に寄らなあかん用事があって…」って遅い時間やのに無理のある言い訳したりして。
 で、自転車置き場に着いたんやけど、「おぉ、こんなトコにちゃんとしたとこあったんや」って勉強になったのはコレマジの話。おっさんは「いたずらされるから奥のほう停めとけ」などとうるさく、しまいには「このチェーン使ってないからやるわ。これ使っとけ」って正直要らんのやけど…。「これ100均のとは違うで。ヤキ入ってるから(意味不明)切れへんねん。これ1500円くらいしたかな」っていう(一方的な)会話は絶対3回以上してた。「見たら分かるやろ、ほらココ金色やから」って金色やったら強いんか。なんかよう分からん。
 まあとりあえず今日できることはやったし、礼を言って帰ろうとするとおっさんは駅のほうまで付いてきよるのよ。まあ正直、会話の端々に金の話を(露骨に)盛り込んできとったから、「このおっさん金欲しいんかな〜」という感はあったけど、「いやしかし、そんな風に考えるのは失礼や」という葛藤もあったのよ。まあ、僕がそういう葛藤してる間にも金の話が盛り込まれ…っちゅうかもう金の話しかしてないやんけ、おっさん。
 「パチンコで全部すってもうてな、ほらもう小銭あれへん(と財布を見せてアピール)。1000円くらいカンパしてくれんか」とゆうから、まあ世話になったのはたしかやし、いい自転車置き場を教えてもらったし、チェーンのこともあるし(まあ値段は眉唾やと思う)、何よりもこの面白体験に免じて、1000円札がなかったので500円だけあげることにした。「大きいのしかないの?でも駅で崩すやろ?」とか今考えるととんでもないことを言うてた気もするけど、まあブツブツ言いながら金を渡すとおっさんは去っていったのでした。
 (追記)新今宮の駅から電車に乗ろうとすると、夕方に人身事故があってダイヤが大幅に乱れてるという。「環状線天王寺新今宮間」で起こったってことは、あの環状線に1つしかない踏み切りが現場かな…(翌日の朝刊で見ると正解)。いつ来るか分からん電車を待つのも面倒だと思い、その現場の横を通りつつ歩いて家まで帰りました。まったくとんでもない1日だったな。