靴がたくさんあったなら

 いちおう就職したことになっている身なのですが、休みがそれなりにあるし何より薄給なので、継続して引越しのバイトにもちょくちょく行っております。ふだんあまり体力を使わないからいい運動になるわなーくらいの気分でぼちぼちやってるんですが、遅くとも来年あたりには本格的に実家を出る算段をつけたいので、いろんな人の生活っぷりが垣間見られるこのバイトはなかなか勉強にもなるわけです。
 で、とある日の現場、仕事はおそらく建築関係であろう男性の、おそらく一人暮らしにしてはけっこう広めな住居だったんですが、何がビックリしたってとにかく靴が多いんです。カジュアルからフォーマルまで、おそらく30足以上はあったでしょうか、もちろんどれもそれなりにいい質のものっぽかったんですが、それらを下駄箱に並べながら、「はたして、毎朝この中から一足を選ぶ生活と、(一足しか持ってないから)靴を選ぶまでもない僕の生活と、どっちが豊かで幸せなんだろうか?」などとつい考えてしまいました。いや、結論は言うまでもなく、「それぞれの尺度でもってそれを選択してるんだから、一概にどちらが幸せとは言えない」んだけど。
 要するに、自分を肯定するために人を否定したくないなーというお話。